楽曲評論家クソDDのアイドル三十七房

アイドルの話しかしません。

そろそろ「GOGO DEMPA」について本気で考えてみよう。

この時期になると2016年のアイドル楽曲大賞のことばかり頭に浮かぶ。更新頻度が落ちたのは9割ぐらいそれのせいだ。嘘だ。ぶっちゃけ3割ぐらいだ。

 

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さて、でんぱ組.incのアルバム「GOGO DEMPA」が今年4月にリリースされてはや半年が経った。ヲタの間でかなり賛否両論物議をかもしたこのアルバムの意義について、今年のうちにちゃんと本気で考えてみることにしたい。

 

「これじゃねえ」

リリース当初はあちらこちらからこんな声が飛び交っていた。じゃあ一体どれなんだ。

おそらく敬虔なでんぱ組信者であれば、いわゆる彼女たちの十八番である電波ソングモリモリの飛び道具的な一枚を期待していたに違いない。自分も正直その一人だった。

なまじ前作「WWDD」で『NEO JAPONISM』のようなあまりにも射程距離の長すぎる飛び道具をかましてきただけにその期待は大きかった。過去振り返ってみても、やっぱりでんぱ組は『でんぱれーどJAPAN』や『でんでんぱっしょん』みたいな早口すぎて何言ってるのかわからない or 単純にコンセプトの意味が分からない、的な絶妙な振り切れ加減を強力な武器にしてきたのだ。

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そこで今一度「GOGO DEMPA」を聴いてみると、見事にそういう曲が1曲もない。『破! to the Future』みたいにシングルカットされた曲の中には多少片鱗を残したものの、新緑されたアルバム曲はそのほとんどが今までのでんぱ組のイメージとはかけ離れたものが多かった。というより、今まででんぱ組がやってこなかったことをいっぺんにこのアルバムでやってしまった感があった。

EDM、ジャズ、ファンク、クランチサウンドの激爽やかポップス、ブラスサウンドの多用でちょっと泣かせにかかっている感すらある。もがピンもめちゃめちゃ歌上手くなってるし。武道館のもがソロが贔屓目に見てもあまりに下手で可哀そうになってたあの頃が懐かしいわ。俺の青春を返せ。

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それまでのアルバム曲なんかそれだけ抽出して流してたら無意識にサイリウムぶんぶん振り回すマンになるまで洗脳されきってしまいそうな曲ばっかりだったのに、今回のアルバム曲は午前10時ぐらいのすがすがしさに包まれたおしゃれなカフェで流してたほうがしっくりくる。それぐらい毛色が違う。だって朝10時のカフェで「絶好調」連呼する曲流れてたらさすがに絶不調になるでしょ?

 

「代々木大実験」との近似性

ちょっと話は逸れるが、去年の2月に代々木第一体育館で開催された「でんぱーりーナイト de パーリー」について。あの公演はMARQUEEの編集長に「代々木大実験」と言わしめた。それまででんぱ組がやらなかったライブ演出をあれやこれやと盛り込んだ公演だったからである。自分もこのライブは見に行ったが、まず毎回恒例なはずのメンバーの自己紹介がないことに驚愕したのをよく覚えている。MCも含め全編通して一つの物語として作り上げていて、ライブにストーリー性を持たせる、「ファンタジック」という新しいでんぱ組のカタチを提示するきっかけになった。

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あれが「代々木大実験」ならば、「GOGO DEMPA」はさしずめ「GOGO大実験」とでもいうべきか。その実験の度合いが「これからこういう感じもやっていきますよ」っていう断定の段階なのか、「こういうのやってみたんですけどどう?」っていうお伺いの段階なのかはわからないが多分前者な気がする。

 

ライチュウになっても可愛がれるのか」問題

現メンバーでの活動が5年目の節目の年。俺たちが手塩にかけてかわいがったでんぱ組は、新しい形へと少しずつ変化しながらその枠を超えていこうとしている。よく考えてみれば「WWDD」の『イロドリセカイ』あたりで既にその兆候はあったような気もしてきた。現状維持は微減を招くとはよく言うが、でんぱ組も「電波ソングによる現状維持」から「新機軸による成長と拡大」へと舵を切った。「GOGO DEMPA」はその転換点として今後大きく取沙汰される作品になる、はず。

 

なんか書いてて、ポケモン思い出したな。初めてポケモンをやったとき、トキワの森で血眼になって捕まえて手塩にかけて育てたピカチュウに勢いで雷の石を使ってライチュウに進化させてしまった時の「えっ、なにこいつ、こんなやつ知らねえ」感。ただ、ライチュウ単体で見ればそこそこ可愛いはずなのに、より可愛かったはずのピカチュウ時代を知ってしまっているからこそ生まれてしまう「これじゃねえ」という感情。言わずもがなライチュウになってからは育てることをしなくなった。

幼少期の僕にあったこの感情は、子供心ながらのものだと信じたい。願わくば2~3年後、僕がでんぱ組を見て「えっ、なにこいつ、こんなやつ知らねえ」と思ってマサキのボックスに突っ込んでしまわないことを切に祈る。

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そういえば、ピカチュウ版のピカチュウは進化させられないんだっけ。俺も赤じゃなくてそっちやっとけばよかったな。

BiSが始まった瞬間に聞こえた、BiSが終わる音。

もうだいぶ前のことになるが、中心メンバーであるプー・ルイを含む5人で、BiSが再結成された。その瞬間僕の中で「BiSは終わった」という想いがふつふつと湧き上がってきた。

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BiSについては、このブログの中でも再三記事にしているが、このブログはありがたいことに全くアイドルに興味がない人の目にも触れる機会が多いため、今一度「BiS」に関して簡単に振り返っておきたいと思う。

まずBiSは、基本コンセプト的にはアイドルではない。なんか誰もが忘れていそうな設定だが、BiSは「Brand-new idol Society(新生アイドル研究会)」の略称で、彼女たちはアイドルを研究し、アイドルになろうとする、アイドルになりたい女の子たちである。そのため根本的にBiSはアイドルという枠組みの中には入らないはずだが、まあその辺をやおら追及するのも今となっては無粋だ。

いっぱしのアイドルグループのくせにPVで全裸になったり、スクール水着で観客席にダイブしたり、客席に向かって鳥の臓物や生の麺を投げ込んだりという奇妙奇天烈で摩訶不思議でホンワカパッパなパフォーマンスが一部のアウトローアイドルヲタ達にクリーンヒットし、なんやかんやで最終的には地下アイドルから横アリワンマンまで登りつめた、それがBiS。

どれだけBiSがハチャメチャかというのは、この動画を見てもらえればわかると思う。厳密にはBiSじゃなくてBiS階段っていうユニットだけど。

最初期からBiSの中心にいたのは、リーダーでもあるプー・ルイとマネージャーの渡辺淳之介である。BiSはこの2人によってつくられ、一度なくなり、そして今年復活した。

 

 

僕にはこの再結成の理由が未だにわからない。

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これは個人的な意見でしかないけど、「伝説になった」として終わったものをもう一度始める理由が僕には一つも思いつかない。オリジナルメンバーはプー・ルイのみ、他の4名は全員オーディションで選出した、いわば素人だ。

「BiS」という栄光の看板にすがっているわけでは決してないと思うし、さすがにプー・ルイがそんなダサいことしないだろうとも思いつつ、今回の再結成、俺に言わせりゃ、最高にダサい。ダサすぎる。マイナスのほうのダサさだ。ヤバいぞ。

例えるならば、何かがきっかけでX JAPANが解散してしまったとして、TOSHIがボーカルで残りのパートを全員アマチュアから拾ってきて「X JAPAN」というバンド名でXのコピーバンドをやるようなもんだ。書いてて寒気がしてきた。俺の想像上だとしてもTOSHIにそんなダサいことさせて本当ごめん。例え話だ。許せ。

どうだろうか。Xのファンがこれを見たらどう思うだろうか?「そんなもんはX JAPANじゃねぇ!やるんならあの世からhide引きずりだしてこいやオラァ!」と胸倉掴んで凄むに違いない。きっとその時彼の背後でBGMとしてかかっているのはRusty Nailだ。

 

アイドル界における過激で奇抜なパフォーマンスのパイオニアとしてBiSは持ち上げられていたがそれも今や昔。BiSの出現以降に出現したアイドルがすでにその流れは一通り踏襲してしまった。元BiSメンバーが所属するBILLIE IDLE®、GANG PARADE、Maison book girlやBPM15Q、寺嶋由芙に至るまで、もう彼女たちは「元BiS」という看板に頼る必要は全くなくなった。BiSHなんか、初期こそ糞尿ぶちまけられたりしてたけど、今となってはもうBiSみたいにハチャメチャなことやんなくても普通にいい曲で良いライブしちゃうんだもん。

ちなみにこの動画、僕が今まで見たアイドルの野音の中でダントツに泣ける動画だった。落ちサビのアイナ(ハスキーボイスの子)、泣きながらの歌唱がヤバい。

 

誤解の無いように付記しておくが僕はBiSが大好きだ。曲もいい、パフォーマンスも面白い。日々進化し続けるアイドル界に大きな一石を投じたBiSの功績こそ後世まで脈々と受け継がれていくべきものだと心から思う。

だからこそ、安易にBiSの看板で商売していいのか?本当に大丈夫か?以前と同じやり方はもう通用しない。新しいやり方で、新しいメンバーで、新しい曲で、一からやって横浜アリーナワンマンを超えるところまで行けるのか?今のままだと、どうにもやれてTDCホールぐらいのキャパでぽつぽつワンマンが打てる程度にしかならなそうで、非常に心配だ。

 

プー・ルイといえばエゴサーチの鬼なので、もしかしたら何かしら経由でこの記事を目にすることがあるかもしれない。現BiSメンバー然り。どうか、片田舎に住むただのアイドルヲタクの戯言だと思って聞き流してくれ。そして、2年後の俺に、あんなこと言わなければよかった、俺が余計な心配なんかしなくてもBiSはやっぱりやってくれるグループだった、と思わせてくれ。頼む。


絶対に、世界変えてくれ。

平成2期ライダー。お前たちに言いたいことが2つだけある

2つだけだ。これでも結構絞ったぞ。ホントは35個ぐらいあるけどな。断腸の思いで33個切ったんだから2つだけよく聞いてけ。先に言っとくけど相当長いからな。

 

ちなみに平成ライダー1期は2000年のクウガから2009年のディケイドまでの10作。2期は続くWから今のエグゼイドまでの今のところ8作。

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エグゼイドね。見てる?2016年現在の子供がメインターゲットな割にはやたら8bitっぽい効果音やドット絵っぽい演出を多用してるあたり、ファミコン世代のアラフォーお父さんをガチガチに取り込んでいこうというわざとらしさを痛いほど感じさせる。今の子供って思ってるほどカセットフーフーしねえから。かろうじて3DS。あいつら隙あらばマイクロファイバーで出来た謎の布でディスク拭きだすから。

ちなみにエグゼイドは、3話現在今のところ凡作。

 

1. 変身ポーズが長い。そしてダサい。

 しばしば仮面ライダーの変身ポーズは非現実的だと揶揄されてきた。「そんなポーズ取ってる間に攻撃されたらどうすんの?」とか、ゴチャゴチャうるせえ。「そんなポーズ取ってる間に攻撃されたらどうすんの?って指摘してる間にお前の実家に北朝鮮からのミサイル飛んできたらどうすんの?」って言ってるぐらい現実味のない指摘だからなそれ。テレビマンのご都合主義ナメんな。

 

それにしても最近の変身ポーズは長い。そしてダサい。特に酷いのがここ2年間のドライブとゴースト。ドライブの変身はあのシフトカーをカチャってやるところで完結してんだよ。何そのあとの余計な動き。あとゴースト。レバーを引いてから押すまでの間にあるあの手首クルクルと組んでる印は一体なんだ。納豆の糸でも巻いてんのか。

いや、わかる。変身ポーズというものはそもそもが無駄な動きだ。結局フラグさえ立ててしまえばあとは何もする必要がないのが変身という作業。だが特にこの2人のライダーの変身ポーズは無駄に無駄を掛け合わせてさらに別の無駄を足して無駄が出来上がったという絶妙な無駄さ加減。あまりに不毛。ちなみに陰に隠れてるけどマッハとかスペクターとかのサブライダーも無駄な動き酷いからな。他人事だと思ってんなよ。

 

ただ平成2期ライダーのすべてがそうというわけではない。一番カッコいいのはオーズ。オーズの変身ポーズは、「メダルをセットする→ドライバーを傾ける→スキャンする」という純粋に変身する為に必要な工程をとっているだけのポーズだ。実に無駄がない。無駄のなさで言えば時点でウィザードもなかなかの出来。テーマがテーマだからある程度かっこつけても許されるというところが多少ズルい。

 

ちなみに今までの仮面ライダーで最も無駄な動きの多い変身ポーズは多分BLACK RX。こいつがタチ悪いのは変身ポーズだけじゃなくて変身後の自己紹介も無駄に長い。そして無駄な動きが多い。そして「俺は太陽の子!」と謎の口上を述べる。歌舞伎役者かお前は。人の子だろ。そのくせここ一番という場面ではそのポーズを完全に無視して「変身!」と叫ぶだけで変身したりする。潔い、潔いぞ南光太郎

 

ちょっと横道にそれすぎてしまったが、要するにそういうことだ。わかってもらえたと思う。わかってもらえたことにして次に行こう。

 

 

2. 安易に「レジェンド」を使いすぎ。

「レジェンド」って言葉の意味、知ってる?例えるならば、矢沢。

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なんだか最近はつい去年のライダーでさえ「レジェンド」扱いになるらしい。片腹痛い。痛すぎる。去年のライダーが矢沢クラス?それ、俺はいいんだけど、YAZAWAがなんて言うかな?

時を行き来できる電王や過去ライダーの世界を巡るディケイドという便利な存在のおかげで、今や過去のライダーがリバイブ登場することは決して珍しいことではなくなってしまった。なんか最近では1号ライダー出しとけば胸アツな展開になるんじゃね?とかってもう1号のバーゲンセール。1号魂とかギャグでも笑えない。平成2期はグッズ展開の手広さが異常だけど、全部そこに結び付けちゃってもう守銭奴以外の何ものでもない。そんなに東映もテレ朝も資金事情厳しいわけ?そんな東映やテレ朝にお勤めしてる人の年俸、矢沢の2秒。

 

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そもそもそんな安易に過去ライダー出てきて見てるほうが嬉しいと思うの?マジで謎。まあ俺がマイノリティなのは否めないが、ゴーストの過去ライダーラッシュなんかもう唖然としちゃって。挙句の果てには「平成魂」とか出しちゃって。人の力ばっか頼ってんじゃねえよ。まずはお前が命燃やしきってからにしろよ。あ、燃やす命がなかったのか。

今年もどうせレジェンドライダーガシャットとか出すんでしょ。あんまりネタバレみるのは好きじゃないから意図的にそういう玩具情報みたいなのは避けてるけどまず間違いなく出るわ。あと2スロット同時差しで変身する強化フォーム用ガシャットとか。これも絶対出る。

その辺はまあいいとして、安易にたかが去年のライダーをレジェンド扱いしてホイホイ映画やテレビに出さないでほしい。安売りは早死にの元だぞ。あといくらレジェンドだからって別に要所でもないところで平気な顔して1号を使わないでほしい。藤岡弘ももう70だから。ゆっくりコーヒーぐらい淹れさせてあげてよ。

 

 

とにかく話が脇道という脇道に逸れまくったが、要は最近の仮面ライダーには言いたいことが多すぎる。別に手広い商品展開をするなとは言わないし、ホイホイ過去ライダーを出すなとも言わない。ただ、「要所」を選んでくれと。それだけは強く願う。

ただ無駄な変身ポーズは一切認めない。来年あたり木場さんが変身するオーガみたいなクールで悲しみと怒りに満ちたライダーやってくれないか。

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損したのは、BELLRING少女ハートではなく朝倉みずほでは?

さて、この記事を読んでいるアイドルヲタクの中に今年リリースされたBELLRING少女ハートの「BEYOND」を聴いたことがない人はいないと思う。もしこの期に及んで聞いたことがないなどと宣うロートルは今すぐタワレコに走るかOTOTOYでハイレゾを買え。もうすぐ今年終わるってのにお前はこの1年何をしてたんだ。

 

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今年いっぱいをもってBELLRING少女ハート(以下「ベルハー」)から朝倉みずほ・柳沢あやのの両名が卒業、同時にベルハーは活動休止となることが発表されて世のオルタナロックアイドルヲタが悲哀に暮れているさなか、この1件でのベルハーと両名(特に朝倉みずほ)との損得のバランスが取れているのかどうなのか僕はひたすらに気になった。とにもかくにも、「この1件、どっちも損してない?」ということである。

 

朝倉・柳沢といえばベルハーのいわゆる看板で、特に朝倉は唯一生き残ってきたオリジナルメンバー。ぶっちゃけこの2人がいないグループをベルハーって呼べるの?的な疑問もネット上あちらこちらで噴出しつつある。

そんなメンバーを失うベルハー、まさに宝を失い大きな痛手…さぞかし朝倉・柳沢は大きく羽ばたいていくことだろう…と思ったのもつかの間。柳沢は卒業後ソロ活動へ移行することが発表されたが、おい朝倉、お前だちょっと待て。そこへ座れ。

 

朝倉が先日更新した本人のブログでこんなことを言っていた。

(前略)あ~私にはベルハーのその先に夢はないなってなった。例えば女優さんになりたいとかモデルさん歌手芸人さんタレントさんあとなにかあるかな・・?わからないけど、例えばこんな感じの夢

 

要するにいわゆる「人気者」になるのが朝倉の目標らしいが、だったら今のベルハー捨てるの、もったいなくね?というのがめちゃめちゃ率直な感想。いや、本人的に「アイドルは10代までって決めてた」からっていうのは分かるんだけど。お前それもう30近いこじはるにアイドルやらせてる秋元康に面と向かって言えんのか。あいつ怒らせたら両脇からとんねるず出てきて部屋の壁に無断でサイン書かれるぞ。「ペレ」って。持ち家とか借家とか関係ねーからあいつら。

 

確かに、アイドルグループを卒業して女優・タレントに流れていくケースは多々ある。最近それが顕著に成功していると思えるのは早見あかりぐらいだろう。

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あかりん、大人っぽくなっちゃったな~。青年館のころが懐かしいわ。

早見あかりに関しては、「元ももクロの」というだけで「あぁ~」と言ってくれる人が石を投げれば当たるほどいる。それはももクロがある種AKBに次ぐ国民的アイドルになれたからである。今後朝倉がなんとなく地上に上がってきたとき「元ベルハーの」と言って「あぁ~」という人に石を投げつけられる自信は僕にはないし、そういう人種とは自宅でのCD鑑賞を生業とする屁のような人種がほとんどのためそもそも当たらない。

あの不動かつ栄光のAKBエースだった前田敦子ですら「シン・ゴジラ」では崩落する東京湾アクアラインから脱出する2,3秒のカットで、『えっ、なになに!?』みたいな一言しかしゃべらせてもらえなかったのだから、芸能界というのはそんなに生半可な場所ではない、らしい。

 

そんなことをいろいろと総合して考えたら、ベルハーと朝倉がWin-WinならぬLose-Loseの関係になっているように思えてならない。なんかどっちも損してない?大損ってほどでもないけど、なんかデメリットを知らずに使い続けるリボ払いみたいな損の仕方してない?

本当に売れたいのなら、今のベルハーを最大限に利用しない手はないはずなんだが、そこは本人のアイドル美学が勝ってしまったらしい。まあなんだかんだと言っても20歳にもならないそこそこの女の子がそういう信念をもって芸能活動をしているということは素晴らしいことだと思うし、僕はめちゃめちゃベルハー好きなんでこの流れで朝倉がいわゆる「人気者」になったらそれはそれでイケてる展開だな。そのままいなくなったら、あまりにも残念な逸材だと思うんだけど。

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「9mm Parabellum Bulletが好きだ」って言う人が好き。

知ってる?9mm Parabellum Bullet

いや、みなまで言うな。何が言いたいかはわかる。「読めない」と。

 

「キューミリ パラベラム バレット」と読むらしい。最初は「キューミリ」じゃなくて「ナインミリメィトォー」的な読み方をするのかなと思ったんだけど思いのほか日本男児だった。まあそんなことはどうでもいい。とりあえずこのMVを見てほしい。

 

どうでした?

いや、みなまで言うな。何が言いたいかはわかる。「意味が分からない」でしょ?わかる。俺も最初そう思った。

街中でおもむろに日本刀を構える美女とスタッズバリバリの革ジャンを着た男、いや、男というよりもはや彼こそがスタッズそのものかもしれない。そんな2人がレスポールでいいだけ殴り合ったあとお寺でカレーを食べラストは大爆破。そんなMV。

これこそが9mm Parabellum Bullet。これこそが、僕が高校・大学時代に最も熱狂的にハマったバンド。今日はそんなバンドの話。

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横浜から出てきて数年、上の「Supernova」を出したころの9mmはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、そんな9mmに落とされた大量の飛ぶ鳥の中にいた一羽が僕。とにかく馬鹿みたいに9mmのCDばっかり聴いていて、「洋楽?9mmのほうがカッコいいじゃん」「えー!シングルなのにライブ音源1時間も付いてんじゃーん!」としょうもないことに一喜一憂しながら、僕が今の邦楽ロック至上主義者に成り下がるきっかけを作り、ジミヘンやクラプトンやスティーブ・ヴァイザック・ワイルドジョン・フルシアンテみたいなギターヒーローに周りの楽器小僧がキャーキャー言っていた中僕が追いかけていたのが滝善充。

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周りのギターキッズたちが「BOSS!MAXON!オーバードライブ!ディストーション!キャイキャイ」とはしゃいでいたさなか、僕が生まれて初めて買ったエフェクターはBOSSのオクターバー。もちろん使いこなせなどしなかった。

  

9mmを誰かが語るとき絶対に口にするのが「9mmはダサいのがかっこいい」という謎の理論。最初は何言ってんだと思ってたけど、これ以外に9mmの良さを言い表す言葉が見つからないのが事実。

 


9mm Parabellum Bullet - シベリアンバード 〜涙の渡り鳥〜

ね、わかったでしょ。ダサい。最高にダサい。なのにカッコいいのはなんでだろう。そもそも「涙の渡り鳥」ってなに?あとその前後についてる「~」もなに?

 

そんな9mmも結成10年をあっという間に過ぎ、既に円熟期。4~5年前に落とされた大量の鳥たちはいよいよ回復の兆しを見せてあちらこちらへと飛び立っているのが現状なのに、僕はいまだに落とされたまま。一向に傷が癒えない。ずっと9mm聴いてる。

 9mmに対する考え方ってって実は3周ぐらいしてると個人的に思う節がある。「ダサいのがかっこいい」のが第1段階、「『ダサいのがカッコイイ』っていう言い訳がダサい」が第2段階。そして今は、「『ダサいのがカッコイイっていう言い訳がダサい』っていう考え方がダサい」という第3段階。敵の敵は味方理論の発展版。

 

そんな9mmのことを好きになってくれるあなたが好きです。

ハートに火をつけようぜ!(スチャスチャスチャスチャ)


9mm Parabellum Bullet - ハートに火をつけて

お店でCDを買うということ

2016年10月4日、Hi-STANDARDが16年ぶりの新作をリリースした。

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Hi-STANDARDというバンドを語らずして、日本の音楽シーンは語れない。いっぱしのインディーズバンドのくせに圧倒的なメジャー感を放ち、メジャーレーベルの強力な広告宣伝力を一瞥するように、テレビにも全く出ない。超大手であるTOY'S FACTORYから独立して、自ら立ち上げたインディーズレーベルPIZZA OF DEATH RECORDSから発売したアルバムは、当時のメジャーレーベルが発売していたCDをあっという間に追い抜いてミリオンヒット。

多分今いろんなところで活躍してるバンドマンたちの中で、多少にかかわらず「ハイスタを1度も聴いたことない」という人はいないと思う。間違いなくいない。それぐらい日本の音楽シーンに強烈な影響を与えた伝説的なバンド。それがHi-STANDARD

(この曲を聴いたことない!っていうバンドマンは、さすがにいないよね…?)

 

そんなハイスタが今日、2000年の「Love Is A Battlefield」以来16年ぶりになる新作「ANOTHER STARTING LINE」を今日リリースした。しかも、事前告知は一切なし。コマーシャルも雑誌広告も事前プロモーションも一切なし。今日たまたまCDショップに立ち寄った人が偶然見つけ、SNSで情報がすごい勢いで拡散され、「新しくCDを出しますよ」なんて一言も言っていないにもかかわらず今この瞬間も日本中で売れている。そういうことを平然とやってのけるのが、日本の伝説、ハイスタ。

ちなみにハイスタが完全ノンプロモーションでCDを出したのは今回が初めてというわけじゃないんだけど、それでもいろんなところで言われているように「配信時代へのアンチテーゼ」を少なからず感じるのは僕だけではないはず。

(僕にとってのハイスタはこれ。高校の友達がコピーしてたなー。今でも聴くとちょっとノスタルジー。)

 

今や音楽はそこらじゅうに溢れていて、わざわざお店に足を運んでCDを買わなくても、ネット環境さえあればワンクリックで聴けてしまうし買えてしまう。身近になったねと喜ぶリスナーがいる一方で、薄利多売を余儀なくされる音楽業界の人々にとっては「じゃあTシャツやトートバッグなんかの原価の安いグッズをたくさん作って売って活動資金にするしかない」「ライブのチケット代をちょっと多めに取らせてもらうしかない」などと苦渋の決断を迫られる状況が続いている。

僕はいち音楽好きとして、できる限り音楽はお店に行ってCDで買いたいと思っている。多少なりとも音楽活動をやっていた人間のはしくれとして、どれだけCDが売れればどんぐらいの利益が出るのかとか、それが配信で済まされてしまうと聴取機会は増えるにせよどんだけ薄利になるのかというのをめちゃめちゃ近くで感じてきたから。

だからこそ、好きなバンド・好きなグループを本当に応援するベストなやり方は「お店でCDを買うということ」だと未だに僕は思っているし、これからも絶対それは変わっていかないとも思う(その延長線上に「ライブに行く」っていうのはもちろんあるけど)。AmazonでもCDは買えるし、iTunes Storeでも曲は買える。だけどそれでも、お店の棚からCDを探して買うあの感覚は絶対に得られない。

大人はよく「新聞を読め。ネットだと欲しい情報しか見ようとしないけど、新聞は興味のない情報でも目に入ってくるだろ?」という。それと全く同じ。ネットで買うのは簡単だけど、お店の棚をガサゴソやっているときに起こりうる「お、これおもしろそう」っていう新しい出会いは絶対にない。だからこそ、音楽はお店で、CDで買うべきだと、僕は思う。

 

ハイスタの新譜、伝説の瞬間に立ち会っている気がした。気になった人はぜひCDショップに足を運んで買ってみてほしい。今のところ通販や配信では手に入らない(はず)。

ハイスタのCDを買いにCDショップに行って、ついでに店内をうろうろしていたらおもしろそうなCDを見つけて、買って聴いてみたらめっちゃよかった!みたいな出会いがあれば、それはもうとてもとても素敵なことじゃないですか。

最近聴いた良いアルバム3選

寺嶋由芙 - わたしになる

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アイドル戦国時代の真っ只中、あらゆる界隈のヲタにとっての心の拠り所であり、終着点であると断言できるソロアイドルこそが、間違いなくゆっふぃーこと寺嶋由芙

BiSを離れ、「#ゆーふらいと」でソロデビューしてからの2年半で発表したシングル曲をほぼ全て網羅した、ゆっふぃー初のフルアルバム。ここまでのソロ活動の集大成と言ってもいい1枚。もう、聴けば聴くほど正統派。

音源もそうなんだけど、歌詞カードにはじまるアートワークまで完成度がすごい高くてめちゃめちゃ満足。完成度が高いのもそうだし、制作サイドの楽曲とゆっふぃー本人に対する愛が溢れてる。当然ゆっふぃーがこのアルバムにかける愛も溢れまくり。盤面持ってる人にしか伝わらないけど、歌詞カード13・14ページの見開きをぼーっと眺めているだけで2~30分はあっという間に過ぎる。

やっぱ「#ゆーふらいと」最高だな~っていうのを一通り聞いて思った。ここから寺嶋由芙が始まったわけだし、オリジンでもありアンセムでもあるわけで。覚悟と意志。

名盤感しかない。1stフルアルバムってどのアーティストが出しても発展途上というか、粗削り感が多少ながらも感じられるはずなんだけど、ゆっふぃーのこれに関してはすでに完成されきってるな~って感じてしまった。ここに今後何を上乗せしてくれるのか。

 

 

BiSH - KiLLER BiSH

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最近BiSHの話しかしてねえな俺。でもそれぐらいマジでBiSHいいんですよ。

オリジナルメンバーだったハグ・ミィの脱退後、新メンバーのアユニ・Dが加入して初のアルバム。個人的には2016年のベストアルバムはRYUTistの「日本海夕日ライン」でもう決まりかなと思ってたんだけど、マジでそこにタメを張るというか、路線は全然違うんだけど圧倒的な名盤感。その名盤感を際立たせているのが、加入して1年経ったリンリンと、新加入したアユニ・Dの作詞力。

リンリンは今作中「ファーストキッチンライフ」「Am I FRENZY??」「My distinction」の3曲の作詞を、アユニは「本当本気」の作詞を担当してる。そもそもBiSHはメンバーに歌詞を出させて良かったものを採用するっていうやり方だから歌詞が良いのは当たり前なんだけど、あまりにも真に訴えかけてくる。

リンリンは前作の「FAKE METAL JACKET」でもこの「beautifulさ」の歌詞を書いてて、うわあこいつやべえ歌詞書くなと思ってたんだけど今回はその振り切れ具合が半端ない。

強制的に今日が来て 見えもしない時間を睨み

足音立てて遠くまで でっかい地球を潰し歩く

ー「My distinction」

 アユニはどんな感じなのかな?と思ってたらもう俺のど真ん中直球。こういう女の子こそBiSHにいるべきだろうっていう感じ。

本気出すのは今ではない 嘘じゃない 知ってた?

三角形でいう底辺じゃねえ

頭がおかしくなっちゃっても 妄想じゃない 知ってた?

白昼夢で終わらない 嗤うんじゃねえ

ー「本当本気」

 こういう、決して高尚な精神観を持っている訳じゃない人の書く歌詞って鋭く刺さる。BiSHを見てるとすごいそれを感じる。だから良いと思っちゃうんだろうな。自分を投影してるように感じてしまう。

 

 

泉まくら - アイデンティティ

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福岡の女性ラッパーって言えばいいの?ヒップホップMC?

そんなに詳しくないんだけど、前からちょっとずついろんな曲をかじって聞いてたのに比べて全然違う印象でびっくり。こんなにロートーンで歌う感じだったっけ?って思いつつ、あれ?こっちのほうがよくね?って思ったり。

トラックメイキングは全編通してnagacoさんって方がやってるんだけど、この人のトラックめっちゃいいな~と。抒情的なんだけどアッパーで、でもどこか悲しさを秘めてるような。ヒップホップのトラックとして成立してるのに、どこか物悲しい。

「枕」の歌詞にもあったり本人もインタビューで喋ってたりするけど、「生まれてきた時点で、自分にしかできないことって8割ぐらい終わっている」っていうのが結構ショッキングだけど確かにそうかもしれないと感じてしまった。「他人のドラマにいつもチョイ役」っていう捉え方をするあたり、自分に自信がない人の典型というか、ああそういわれてみれば確かに…と思わされてしまう。