お店でCDを買うということ
2016年10月4日、Hi-STANDARDが16年ぶりの新作をリリースした。
Hi-STANDARDというバンドを語らずして、日本の音楽シーンは語れない。いっぱしのインディーズバンドのくせに圧倒的なメジャー感を放ち、メジャーレーベルの強力な広告宣伝力を一瞥するように、テレビにも全く出ない。超大手であるTOY'S FACTORYから独立して、自ら立ち上げたインディーズレーベルPIZZA OF DEATH RECORDSから発売したアルバムは、当時のメジャーレーベルが発売していたCDをあっという間に追い抜いてミリオンヒット。
多分今いろんなところで活躍してるバンドマンたちの中で、多少にかかわらず「ハイスタを1度も聴いたことない」という人はいないと思う。間違いなくいない。それぐらい日本の音楽シーンに強烈な影響を与えた伝説的なバンド。それがHi-STANDARD。
(この曲を聴いたことない!っていうバンドマンは、さすがにいないよね…?)
そんなハイスタが今日、2000年の「Love Is A Battlefield」以来16年ぶりになる新作「ANOTHER STARTING LINE」を今日リリースした。しかも、事前告知は一切なし。コマーシャルも雑誌広告も事前プロモーションも一切なし。今日たまたまCDショップに立ち寄った人が偶然見つけ、SNSで情報がすごい勢いで拡散され、「新しくCDを出しますよ」なんて一言も言っていないにもかかわらず今この瞬間も日本中で売れている。そういうことを平然とやってのけるのが、日本の伝説、ハイスタ。
ちなみにハイスタが完全ノンプロモーションでCDを出したのは今回が初めてというわけじゃないんだけど、それでもいろんなところで言われているように「配信時代へのアンチテーゼ」を少なからず感じるのは僕だけではないはず。
(僕にとってのハイスタはこれ。高校の友達がコピーしてたなー。今でも聴くとちょっとノスタルジー。)
今や音楽はそこらじゅうに溢れていて、わざわざお店に足を運んでCDを買わなくても、ネット環境さえあればワンクリックで聴けてしまうし買えてしまう。身近になったねと喜ぶリスナーがいる一方で、薄利多売を余儀なくされる音楽業界の人々にとっては「じゃあTシャツやトートバッグなんかの原価の安いグッズをたくさん作って売って活動資金にするしかない」「ライブのチケット代をちょっと多めに取らせてもらうしかない」などと苦渋の決断を迫られる状況が続いている。
僕はいち音楽好きとして、できる限り音楽はお店に行ってCDで買いたいと思っている。多少なりとも音楽活動をやっていた人間のはしくれとして、どれだけCDが売れればどんぐらいの利益が出るのかとか、それが配信で済まされてしまうと聴取機会は増えるにせよどんだけ薄利になるのかというのをめちゃめちゃ近くで感じてきたから。
だからこそ、好きなバンド・好きなグループを本当に応援するベストなやり方は「お店でCDを買うということ」だと未だに僕は思っているし、これからも絶対それは変わっていかないとも思う(その延長線上に「ライブに行く」っていうのはもちろんあるけど)。AmazonでもCDは買えるし、iTunes Storeでも曲は買える。だけどそれでも、お店の棚からCDを探して買うあの感覚は絶対に得られない。
大人はよく「新聞を読め。ネットだと欲しい情報しか見ようとしないけど、新聞は興味のない情報でも目に入ってくるだろ?」という。それと全く同じ。ネットで買うのは簡単だけど、お店の棚をガサゴソやっているときに起こりうる「お、これおもしろそう」っていう新しい出会いは絶対にない。だからこそ、音楽はお店で、CDで買うべきだと、僕は思う。
ハイスタの新譜、伝説の瞬間に立ち会っている気がした。気になった人はぜひCDショップに足を運んで買ってみてほしい。今のところ通販や配信では手に入らない(はず)。
ハイスタのCDを買いにCDショップに行って、ついでに店内をうろうろしていたらおもしろそうなCDを見つけて、買って聴いてみたらめっちゃよかった!みたいな出会いがあれば、それはもうとてもとても素敵なことじゃないですか。
最近聴いた良いアルバム3選
寺嶋由芙 - わたしになる
アイドル戦国時代の真っ只中、あらゆる界隈のヲタにとっての心の拠り所であり、終着点であると断言できるソロアイドルこそが、間違いなくゆっふぃーこと寺嶋由芙。
BiSを離れ、「#ゆーふらいと」でソロデビューしてからの2年半で発表したシングル曲をほぼ全て網羅した、ゆっふぃー初のフルアルバム。ここまでのソロ活動の集大成と言ってもいい1枚。もう、聴けば聴くほど正統派。
音源もそうなんだけど、歌詞カードにはじまるアートワークまで完成度がすごい高くてめちゃめちゃ満足。完成度が高いのもそうだし、制作サイドの楽曲とゆっふぃー本人に対する愛が溢れてる。当然ゆっふぃーがこのアルバムにかける愛も溢れまくり。盤面持ってる人にしか伝わらないけど、歌詞カード13・14ページの見開きをぼーっと眺めているだけで2~30分はあっという間に過ぎる。
やっぱ「#ゆーふらいと」最高だな~っていうのを一通り聞いて思った。ここから寺嶋由芙が始まったわけだし、オリジンでもありアンセムでもあるわけで。覚悟と意志。
名盤感しかない。1stフルアルバムってどのアーティストが出しても発展途上というか、粗削り感が多少ながらも感じられるはずなんだけど、ゆっふぃーのこれに関してはすでに完成されきってるな~って感じてしまった。ここに今後何を上乗せしてくれるのか。
BiSH - KiLLER BiSH
最近BiSHの話しかしてねえな俺。でもそれぐらいマジでBiSHいいんですよ。
オリジナルメンバーだったハグ・ミィの脱退後、新メンバーのアユニ・Dが加入して初のアルバム。個人的には2016年のベストアルバムはRYUTistの「日本海夕日ライン」でもう決まりかなと思ってたんだけど、マジでそこにタメを張るというか、路線は全然違うんだけど圧倒的な名盤感。その名盤感を際立たせているのが、加入して1年経ったリンリンと、新加入したアユニ・Dの作詞力。
リンリンは今作中「ファーストキッチンライフ」「Am I FRENZY??」「My distinction」の3曲の作詞を、アユニは「本当本気」の作詞を担当してる。そもそもBiSHはメンバーに歌詞を出させて良かったものを採用するっていうやり方だから歌詞が良いのは当たり前なんだけど、あまりにも真に訴えかけてくる。
リンリンは前作の「FAKE METAL JACKET」でもこの「beautifulさ」の歌詞を書いてて、うわあこいつやべえ歌詞書くなと思ってたんだけど今回はその振り切れ具合が半端ない。
強制的に今日が来て 見えもしない時間を睨み
足音立てて遠くまで でっかい地球を潰し歩く
ー「My distinction」
アユニはどんな感じなのかな?と思ってたらもう俺のど真ん中直球。こういう女の子こそBiSHにいるべきだろうっていう感じ。
本気出すのは今ではない 嘘じゃない 知ってた?
三角形でいう底辺じゃねえ
頭がおかしくなっちゃっても 妄想じゃない 知ってた?
白昼夢で終わらない 嗤うんじゃねえ
ー「本当本気」
こういう、決して高尚な精神観を持っている訳じゃない人の書く歌詞って鋭く刺さる。BiSHを見てるとすごいそれを感じる。だから良いと思っちゃうんだろうな。自分を投影してるように感じてしまう。
泉まくら - アイデンティティー
福岡の女性ラッパーって言えばいいの?ヒップホップMC?
そんなに詳しくないんだけど、前からちょっとずついろんな曲をかじって聞いてたのに比べて全然違う印象でびっくり。こんなにロートーンで歌う感じだったっけ?って思いつつ、あれ?こっちのほうがよくね?って思ったり。
トラックメイキングは全編通してnagacoさんって方がやってるんだけど、この人のトラックめっちゃいいな~と。抒情的なんだけどアッパーで、でもどこか悲しさを秘めてるような。ヒップホップのトラックとして成立してるのに、どこか物悲しい。
「枕」の歌詞にもあったり本人もインタビューで喋ってたりするけど、「生まれてきた時点で、自分にしかできないことって8割ぐらい終わっている」っていうのが結構ショッキングだけど確かにそうかもしれないと感じてしまった。「他人のドラマにいつもチョイ役」っていう捉え方をするあたり、自分に自信がない人の典型というか、ああそういわれてみれば確かに…と思わされてしまう。
BiSH「Less than SEX TOUR」@RISING HALL
行ってきた。なんだかんだでTIF以来のアイドル現場。
まあとにかく結論を先に言うと、最高&最高&最高。BiSHのツアーは「Eden of Sorrow」広島以来だったけど、地方BiSHはなぜこんなにも楽しいのか。TIFの瞬き6連発のときとはまたちょっと違う高揚感。
このツアータイトルだからだろうけど、SEがスパンカーズの「Sex On The Beach」でもうメンバーが出てくる前からアゲアゲ。アイドル現場でメンバーが出てくる前からセックスセックス連呼できるのはBiSHぐらいだろうな…。強いて言えばベッド・イン。
セトリ自体はこのツアー全編通してそんなに大きく変わることはないみたいだけど、やっぱりド頭の「BiSH -星が瞬く夜に-」はテッパンもテッパン。とりあえずここでもう周りの知らない人と肩組みまくって頭振りまくって「はいせーの!はいせーの!」と絶叫。
(↑記念すべきBiSHのデビュー曲かつアンセム。)
やっぱBiSHの曲めっちゃ良い。10月の新譜に入ってる「オーケストラ」も初めてライブで見れたけど、「MONSTERS」とか「DEADMAN」とかのもう訳わかんなくなるぐらいめちゃくちゃになっちゃう曲と違って、「Is this call??」みたいな、曲が終わった瞬間拍手もできなくなるぐらいに圧倒されてしまう曲だったので異常に聴き入ってしまった。
(↑制服着た子、なんか見たことあると思ったらりーめろ先輩だった…ねむねもで見たわ…)
(↑わっせっそわっせっそわっせっそ!!!)
なんか、前のツアーで見た時に比べて、ハシヤスメとリンリンの2人が加入して1年たった今、ようやくBiSHのメンバーとして本格的に機能してきたかな?っていうのを感じた。「Eden of Sorrow」で見たころのはっしーとリンリンはまだやっぱり不慣れというか、現場の雰囲気に慣れることに必死だったように思えた。今はこないだ入ったばかりのアユニがそういう立ち位置にいるのかな。
あ、アユニ。アユニめっちゃよかったんですよ。やっぱりまだまだ不慣れなところもあるし振りもミスってたりしてたけど、今は逆にそこがいいかなと。ハグ・ミィが「熟女」だったのに対して完全に「妹」キャラだなアユニは。「ぴらぴろ」のラスサビでめっちゃミスって照れ笑いのとこは完全に脳裏に焼き付けた。
(↑アユニ・D。日替わりのD、今日はダメージのDだった)
そんなこんなでやっぱり楽しい地方BiSH。10月出る新譜もiTunes先行で買って聴いたらめっちゃよかったし。リンリンのクリエイティビティが爆発してた。曲は聴けるけどやっぱり盤面でほしいと思ってCD予約したら3チェキ撮れた。
(↑アイナとはっしーに「殺してください」ってリクエストしたらこうなった)
最近のBiSHのライブ見てると思うけど、みんな「OTNK」サビ前のイェッタイガー言いたがりすぎじゃない?Bメロ入ったあたりからみんな「イェ…イェ…イェ…」って言ってたし。確かにあれ最高に気持ちいいけど。
(↑アイドル史上最も気持ちよく決まるイェッタイガーは0:50ぐらいから)
汗だくになったけど、かけてたバッグもベルトちぎれたけど、楽しかった。
「専用劇場型ローカルアイドル」というビジネスタイプ
「専用劇場(=専劇)」を持っているアイドルは、そう多くない。「他との差別化を図る」という意味ではこれ以上に贅沢かつ効果的なやり方はない。もちろん長所があれば短所もあるのは当然だが、今年はこの「専用劇場型ローカルアイドル」に大きな波が押し寄せている。
専劇といえばまず間違いなくその走りになったのはAKBグループ。いまでこそ全国区はおろか日本を飛び出して世界からの注目も受ける、日本を代表するポップカルチャー・アイドルを象徴するグループになっているが、秋葉原ドンキホーテの8階に「AKB48劇場」が完成したのは2005年の話。まだ全然AKBがメジャー級でもなんでもないころに作られたのが「専用劇場」というビジネスタイプの始まりだとされている。
そこからはほぼなし崩し的に、2008年には名古屋にSKE・2011年には福岡にHKTと大阪にNMB・そして2016年には新潟にNGTの専用劇場が次々とオープンし、「AKBグループのアイドルには、専用劇場に行けば会える」という専劇商法の先駆者となった。
(↑AKB48劇場。「日本で最も洗練された見世物」って今覚えばすごい大口…)
当然これを後追いしないアイドルグループがいないわけがなく、過去様々な専劇型アイドルが誕生してきた。とはいってもメジャーアイドルで専劇商法を用いるグループは数少なく、活動拠点とする地元への根付きをより強固なものにするための一つの方策として全国各地のローカルアイドルが導入していくのが主流だった。
しかし、ローカルアイドルと言えば聞こえはいいけれど、今や全国各地にごまんといるご当地アイドルたち、かたや盛り上がればかたや衰退していくのが世の常。
長い下積み時代がようやく報われ始めたNegiccoや、スターダストという強力なプロデュース力をもったバックに押し上げられて名古屋から飛び出したチームしゃちほこ、「奇跡の1枚」によって1人のメンバーがピックアップされたことによりグループ全体の知名度もあがったRev. from DVLなど、地方から全国へと羽ばたいていくロコドルがいる一方で、大きな会場を埋められるほどのヲタ付きもなければ強力なレーベルの後ろ盾もないグループは、日々生まれては日々消えていく。
(↑かの有名な「奇跡の1枚」。この1枚の写真が1組のロコドルの運命を変えた)
そんな衰退の波が、専劇型ローカルアイドルにも押し寄せてきている。9/19をもって、広島のローカルアイドル「MAPLEZ」がホームとしてきた本通の専用劇場「STUDIO MAPLE」が閉店することが決まった。時を同じくして、福岡のローカルアイドル「HR」の専用劇場「ボックスシアター」も今年11月をもって移転されることが発表された。そして周知のとおり、前述のHKT48専用劇場も、初公演から4年4か月経った今年の3月にすでに営業終了となっている。
(↑広島・本通のSTUDIO MAPLE。初めて行ったとき「推しメンおにぎり1500円」に驚愕したことを今でも覚えてる)
…というのが、最近あったあれこれのお話。
正直なところSTUDIO MAPLE何回か遊びに行ってただけに、なくなるとなるとかなりショックなんだな。広島のアイドル事情はSTUDIO MAPLEとアクターズスクールの極端な二極化が特徴だけど、アクターズスクールはあくまでもスクールだからおいそれと手を触れられない、となると広島で一番身近に触れ合えるアイドル文化っていうのがまさにSTUDIO MAPLEだった。GINGANEKOも当然そこで知ったし…。
専用劇場っていうのは、一見するとめちゃめちゃ敷居が高いようであって実はそうでもなかったりする。だからこそ、新規の人たちが入っていきやすいひとつの入り口として今後もっと整備されていけばいいなと思っていた矢先のこれ。やっぱり固定費が馬鹿にならないのか…。
単純に、アイドルと直接触れ合える場所が減っていくっていうことはさみしいなあ。
最近良いな~と思った映画サントラ
RADWIMPS - 君の名は。
映画が大ヒットしているそうで。もちろん見に行きました。
大学時代に授業の中で「ほしのこえ」を取り上げたことがあってそこから新海監督作品いろいろ見始めて。ぶっちゃけ「秒速5センチメートル」を初めて見たのは割と最近。「言の葉の庭」はリアルタイムで見た記憶があるな。
新海監督といえば作品内の映像美に徹底的にこだわるところが特徴だとしてあれこれ言われるけれど、「君の名は。」でもう行きつくところまで行った感ある。見てて本当に『もう実写より綺麗なんじゃね?』と思ってしまった。実写じゃなくて、アニメの中で現実を写実的に描くことの意味というか、アニメじゃないと見えてこない繊細な部分がより際立って来たりっていうのが特に特徴的な映画だったと思う。
このCDもやたら売れてるっぽいですね。自分がRADWIMPSのCD買うのなんて、アルトコロニー以来だから7年ぶりとか?久々に聴いたけど、やっぱRADいいな~。
「音楽:RADWIMPS」をプロモーション段階から相当プッシュしてたし、映画も「RADWIMPSのMVを2時間の尺で撮ってみたらこうなりました」感が結構あったから物語との親和性もすごい高くて、音楽アルバムとしてもサントラとしても有能。
個人的なおすすめは「奥寺先輩のテーマ」と「口噛み酒トリップ」かな。あと「前前前世」に全然これまでのRADっぽさを感じなくて逆に面白くて好き。どっちかっていうと典型的なBUMP曲だよなこれ…。スネアの音数をもっと減らせば完璧になるけど。
鷲巣詩郎・伊福部明 - シン・ゴジラ音楽集
もう、最初から最後まで最高でしょこのサントラ。
1曲目始まった瞬間に、映画冒頭にあった時代別東宝のロゴ3連発からのタイトルロゴのシーンが脳内再生されて再現度高すぎ!!!!ってなった。
全32曲のフルコース。個人的に好きなのはやっぱり宇宙大戦争マーチ・怪獣大戦争マーチかな。劇中で、前者はヤシオリ作戦遂行時に、後者はエンドロール中に流れるっていう重要な役回りを任せられる曲。言わずと知れた伊福部明さんのこれがもうずっと好きで好きで。初代ゴジラのフリゲイトマーチが元になってる曲で、ゴジラファンにとっては相当ソウルフルなトラック。
あと全編通して目立つ「EM20」。エヴァのあの有名なBGMをこすり倒した感じで、これが何回もリフレインされてるとエヴァのサントラ聴いてるのかゴジラのサントラ聴いてるのかよくわからなくなってくる。32曲中8曲「EM20」だから。ちなみに4曲連続のところあるから。
EM20 ( Special Extended Mix ) - Shin Godzilla OST (Godzilla Resurgence OST).
Suicide Squad: The Album
日本では今月10日に公開予定の「スーサイド・スクワッド」。早く見たい。
ヒップホップ・R&B・ブラックコンテンポラリーといろんなジャンルからいろんなグループの楽曲を集めた1枚になってる。ただあまりにもなんか一癖あるのが多すぎて入門用って感じじゃない気がしたかな。Eminemの「Without me」とか14年前だぞ。まさかこんなところで再評価されるとは。
あ!これ買おう!って思ったのがPanic! At The Discoの「Bohemian Rhapsody」入ってるからだった。曲は言わずもがなQUEENカバーだけど、最近PATDがこの曲をライブでやってたらしく、音源化はこれが初めて。劇中未使用なのが残念。My Chemical Romanceとかと同列で語られたりするグループだけど、そういうエモっぽさがしっかり残っててよかった。
Panic! At The Disco - Bohemian Rhapsody (from Suicide Squad: The Album) (Audio)
仮面ライダーアマゾンズ、おもしろい。
意外と見てない人が多いみたいなのでぜひ見てほしく、これの話します。
仮面ライダーアマゾンといえば、言わずと知れた仮面ライダーシリーズの4作目。1号・V3・Xと割と王道ヒーロー路線を踏襲する流れができつつあったにもかかわらず、Xが意外と不振だったことに由来して超ド級の異色作をやってみようというコンセプトのもとに誕生した異形のヒーロー、それがアマゾン。
めちゃめちゃ面白いのに大人の事情で24話しかなかったり、それなのに1話に登場したゲドンっていう敵集団が10何話かそこらであっという間に退場してしまってガランダー帝国っていう新しい敵集団がどこからともなく参戦してきたりと何かにつけて突っ込みどころが多いにもかかわらず、突き抜けた異色性と怪奇性が一定の特撮ファン層から未だ熱い支持を受けている。日本ヒーロー史に残る名作かつ異作と言える。
そして仮面ライダー生誕から45周年となった今年制作されたのが、そのアマゾンを原点としつつも設定やストーリーをすべて新調し、リブート作品として世に送り出されたこの「仮面ライダーアマゾンズ」。これが今年の6月に全話配信されたんだけど、マジでおもしろかった。
まず地上波ではなくてAmazonプライム・ビデオでの限定配信だったため、いわゆる日曜朝8時からの仮面ライダーとはちょっと毛色が違う。もちろん子供が見てもある程度楽しめる内容にはなってるけど、基本的には硬派かつ重厚かつグロテスク。10年前に劇場公開された「仮面ライダー THE FIRST」と「~NEXT」に通ずる雰囲気があるというか、あそこまで暗くはないにしても「これ、子供が見たら泣いちゃうんじゃない?」っていうぐらいかなり攻めた演出が多数。
それもそのはず、設定上最も重要なコンセプトは「食人」。劇中の企業・野座間製薬が過去の実験で作り出した、人間のたんぱく質を極度に好む「アマゾン細胞」に翻弄される人々を描く物語がベース。劇中で呼称される「アマゾン(=アマゾン細胞の実験体)」は、アマゾン細胞の活動を抑制する薬剤が切れると自我を失い、ばったばったと人間を食べていく。それはもうとにかく食べる。食べたすぎてしょうがなくなるらしい。
↑とにかく人を食べる。
劇中登場する仮面ライダーは2体。水澤悠が変身する緑のアマゾンオメガと、鷹山仁が変身する赤のアマゾンアルファ。ちなみに水澤悠も鷹山仁も、経緯の差こそあれどアマゾン細胞のキャリアで、今作ではライダーが自分たちの同類を倒していく話になっている。これが意外と終盤になってポイントになってくるんだけど…。
オメガとアルファはしばしば「養殖」と「野生」みたいに分類されることが多くて、悠は自分の足で外に出たことがない、養殖のアマゾン。仁はアマゾンになる前から、自分で殺したもの以外は口にしたことがないという野生のアマゾン。この対比と、中盤から終盤にかけて悠が「養殖から野生にかえっていく」過程が割と見もの。
↑養殖のアマゾン、水澤悠ことアマゾンオメガ。
他にもいろいろと語りたいことあるけどキリがなくなる…。特にスタッフ陣とか…。メイン監督は石田秀範さん、脚本は小林靖子さん、プロデューサーは白倉伸一郎さん。もう、平成ライダーフリークに言わせればありがとうございます!!!!!みたいなメンツが好き勝手やっているというのが最高にエモい。
「仮面ライダーだけど、仮面ライダーじゃない」って感じるところも結構おもしろいというか。劇中に「仮面ライダー」っていう呼称は1回も出てこないし、白倉プロデューサーが思い描く『単純な勧善懲悪ではないライダー物語』を地でいってるからこそこういう重厚なストーリーでやりくりできるのかなとも思う。
Amazonプライム・ビデオでの全話配信が完了して、今はBS朝日とTOKYO MXの2局で放送中。来年春には2期の制作も決定しているらしく、まだまだこれから楽しめるコンテンツ。というわけで今年イチオシのライダーコンテンツ、アマゾンズ。おすすめなのでぜひ。これのためだけにAmazonプライム入っても損しないと思う。
個人的には七羽さんが最高のキャラかつ意外と劇中めっちゃ重要な立ち回りしかしてなくて大好き。
↑東亜優さん演じる、泉七羽。アマゾンアルファこと鷹山仁のパートナー。
「℃-ute」解散にみる、アイドルのこれまでとこれから
℃-uteが、解散する。
正直アイドルにどっぷりハマりはじめたころからハロプロに詳しかったわけではないし、むしろ自分のドルヲタ人生の中ではハロプロは決してメインストリームではなかった。そんな自分にとってでも、いつだってごく当たり前のように存在して、当たり前のように触れることのできた、数少ないアイドルのうちの一つ。全てのドルヲタに対して平等に、普遍的に愛を振りまいてくれた存在である、そんな℃-uteが、解散する。
「ハロー!プロジェクト」が成立して以来、ハロプロ黎明期を支えたグループと言えば2004年に生まれた「Berryz工房」、そして2005年に生まれた「℃-ute」、通称「ベリキュー」の2組。その片方の車輪として12年間回り続けてきたBerryz工房が昨年3月に無期限活動停止を発表したことにより、もう片方の車輪である℃-uteはハロプロ最年長グループとなった。
そんなハロプロはおろかアイドル界を牽引する年長者グループが、来年2017年6月のさいたまスーパーアリーナワンマンをもって解散することがきょう発表された。これで、ハロプロ黎明期を支えたBerryz工房・℃-uteの両輪がともに動きを止めることになる。
(Berryz工房×℃-ute、通称ベリキュー)
アイドル業界は、かつての戦国時代から一斉撤退期に差し掛かりつつあると言われてもいる。今現在日本に存在すると言われているアイドルはおよそ3000組超。市場において既に飽和していたアイドルたちが次々とここ数年で姿を消し去りつつある。奇しくも、ハロプロのみならずアイドルそのものの黎明期を支える存在でもあったBerryz工房・℃-uteの活動停止・解散がここ数年間の「アイドル一斉撤退期」を象徴する出来事になってしまった。
とは、まあ、言ったものの、戦国時代から一斉撤退期へ変わる転機を間近で見ることができてしまっているのが個人的には非常に悲しいと同時に、これこそ自分がアイドルに対して感じる「おもしろさ」でもある。℃-uteを解散するということは、「アイドルではないあの5人を見れる」ということにもなる。事実今回の解散は、メンバー全員が20代になったことをきっかけに、グループの今後を考えるようになったというところに端を発する。5人それぞれが今後はそれぞれ個人として活動を続けていく。12年間続けてきた「アイドル」ではない形で。
それと同時に、ハロプロの組成も変わっていくことになる。モー娘。にまつわるハロプロ創生の時期を第1期、Berryz工房・℃-uteの両輪のもとに繁栄を遂げた時期を第2期とするならば、これからは名実ともにアンジュルムがハロプロを牽引していく、いわば第3期へと舵を切っていくことになる。
ここ数年、Juice=Juiceやこぶしファクトリー、つばきファクトリーと新しいグループにも強い勢いがあるハロプロ。間違いなく新しい時代へ突き進んでいってくれるはず。
ここからは正直な気持ち。
解散してほしくないです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
もっともっと見たかった。ずーっとたまアリで単独公演をやることを目標に掲げつつ、それを最後に達成して終わりって、かっこよすぎる。かっこよすぎるよ。かっこよすぎるからこそその先をもっと見たいと思わされてしまった。
でももっと℃-uteを見たかったという気持ちと同じぐらい、これからのハロプロをもっと見たいというのもある。メインストリームでもあるモーニング、大黒柱になるアンジュルム、それこそ飛ぶ鳥を落とす勢いのこぶし、つばき。脇はJuice=Juiceとカントリー・ガールズでがっちり固めてある。ベリキュー両輪期と同じぐらいのレベルでフォーメーションは組みあがりつつある。
一斉撤退期、ドルヲタにとっては多少辛い響き。何よりももっと見たい。もっと見せてほしい、ほしかった。ただ、始まりがあれば終わりがあるし、キレイに終わるもののほうが美しいと個人的には思う(最近のBiSとか見てると特に)。楽しめるうちに、120%楽しんでおかないと損をするのは自分。℃-uteは去り際になんとなくそんなことを教えてくれたような気がする。
℃-ute 『心の叫びを歌にしてみた』(℃-ute[A Song from my Cying Heart]) (MV)
「あなたの代わりはどこにもないけど 私の代わりは居るみたいだね」
℃-uteの代わりなんて、マジでどこにもいない。12年間お疲れ様でした。と言ってもまだ終わってない。来年、℃-uteが終わる瞬間まで、しっかり見届けます。