楽曲評論家クソDDのアイドル三十七房

アイドルの話しかしません。

最近聴いた良いアルバム3選

アイドルネッサンス 「アワー・ソングス」

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アイルネ待望の1stアルバム。以前ここでも紹介したように、彼女たちが所属するSMA(ソニー・ミュージック・アーティスツ)に所属する先輩アーティストの名曲をカバー、もといルネッサンスしていくアイドルグループ。

アイルネのカバーで好きなのは、とにかく原曲のアレンジを崩さずにやってるところ。聴き比べればすぐわかるというか聞き比べなくてもわかるぐらい余計な手を加えてない。アイルネのグループイメージ自体が純白とか透明感とか、そういう位置づけなのでこういう感じになってるのかなあと思う。汚れてないというか、汚さず無垢にやってる感じ。

このアルバム、「-skit-」っていうのがトラック8に入ってて、ひたすら1分半アイルネのライブ前円陣の音声を流し続けてるトラックがあるんですよね。アイルネはライブ前「どっかーん!!」っていう円陣を組むんですけど。で、1分半しっかりどっかーん!!言い続けた後唐突に始まるのが、Base Ball Bearの「17才」。この展開がかなりアツい。

あとはやっぱり、大江千里さんの「夏の決心」とか。ものすごいノスタルジー。あと個人的にはまたベボベつながりですけど「恋する感覚」とかもめっちゃいい。これはベボベ小出さんが、声優の花澤香菜さんに歌ってもらう前提で書いた曲なんですけど、もう透明感とか抜け感とかもろもろすごいし、キーもアレンジもほぼほぼ原曲と変わってないからまさにアイルネがそこに投影されてる感じが強くて心地いい。

つい先日、アイルネ候補生から2名新規加入が決まって6人から8人にメンバーが増えたり、研修生中心に「AIS」っていう新グループも結成されたりとせわしなく動いてるアイルネ界隈ですが、今後も要注目。めっちゃ好きなので、息の長い活躍してほしい。

 

9nine 「BEST9」

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つい先週出たばっかりの新譜かつ、川島海荷さんが9nineを脱退することが発表されたことにより、川島海荷在籍中のラストプロダクトになってしまったベスト盤。

相当昔に「STAR DRIVER 輝きのタクト」っていうアニメがあって、そのアニメのエンディングテーマで聴いたのが僕の9nineの始まりなんですよね。ちょうどリアルタイムでそのアニメ見てて、すげえ良い曲流れてきてなにこれ?ってなったのをよく覚えてます。「Cross Over」って曲です。銀河美少年とか颯爽登場とかどうでもよくなりましたね。

アルバム自体は本当簡素なベストというか、シングル曲をリリース順に16曲並べてみましたっていう形でしかないんで、嫌いだっていう人はやっぱりいるみたい。9nineってA面もさることながらB面のいい曲が多いんですよ。「いける、いける!」とか特にめっちゃ好き。だからそのカップリングたちをすっ飛ばして、川島海荷特需にあぐらをかいて手抜いたなって言ってる人とかいるんですけど、僕は全然違うと思います。

現メンバーで6年間活動してきて、その軌跡を時系列で追える形をオフィシャルが提示してるというか。「こういう6年間でした。これからもよろしくどうぞ」っていう差し出され方をされてるベスト盤だと思うんですけどね。川島さんが抜けるまでの過去と、抜けてからのこれからを両方イメージできるなあと聴いてて思いました。

あと個人的には、シングルのカップリングによく入ってたtofubeatsのリミックスベストも出してほしい。マジで。

 

Negicco 「ティー・フォー・スリー」

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ここ最近のNegiccoすごい勢いで。去年は「ねぇバーディア」でアイドル楽曲大賞獲ってましたけど、2016年はこのアルバムがベストアルバムになるんじゃないかと思ってるぐらい。去年は3776(みななろ)のアルバムが大勢を占めてましたね。

もう語りたいことが多すぎてどこから手を付ければいいか…。まず音。すっごい優しい音が終始続いてる。これぞまさにポップスサウンドというか、最近のアイドル楽曲に多かったハットゴリゴリに開けた4つ打ちロック路線に安易に乗せず、Negiccoなりのサウンド文脈をしっかり押さえてあるなと。

それから全編通してのイメージはもうまさに「めちゃめちゃよく出来たアイドルポップスアルバム」というしかないにもかかわらず、とにかくいろんなジャンルに手を出して全部Negiccoの色に染め上げて歌いきってしまっている、という印象が強い。「恋のシャナナナ」みたいにややテクノチックな曲から「矛盾、はじめました。」みたいにソウル・ファンク色の強い曲まで、あげくは「江南宵唄」みたいなフュージョンめいた曲まで「あっ、Negiccoだ」と思わされてしまう染め上げっぷり。お見事としか言いようがなくて、もうアイドルポップスというよりは「Negicco」っていう一つの音楽ジャンルでくくってしまったほうがいいのでは、というレベルの幅広さ。

アイドルのアルバム、という印象はもうあんまりない。これ聴いた後に虹のコンキスタドールの「レインボウスペクトラム」とか聴いたら「アイドル」というジャンルの高低差に耳キーンってなると思う。

3人ともめっちゃ唄うまいっていうイメージじゃないんですよねNegiccoって。それが逆に僕は好きなんですけど。普通に歌めっちゃうまい人がこのアルバムの曲歌ったらなんかあまりにも普通になっちゃう気がして…。この特異さがいいのかな。

僕の持論というか最近感じることなんですけど、『Negiccoスピッツ化』が進んでる気がするんですよね。スピッツって、音楽にそんな詳しくない人でも「ロビンソン」とか「空も飛べるはず」とかの知名度高い曲でまあまあ楽しめるのに、深読みすればすごい音楽性なんですよね。だからコアなバンドマンとか音楽マニア層にえらい人気を今も昔も博してますけど、なんかNegiccoも似たような流れになっていきそうですよね。ロコドルといえば!っつって一発目に出てくる「アイドル」がNegiccoになりつつあるのに、この楽曲性。ライト層とコア層の両面から見て楽しめる、マジで良いグループだなーと。